COLUMN琉球アーバンホーム コラム
2020.06.25注文住宅
沖縄で営む戸建て旅館vs民泊☆見極める5つのポイント
沖縄では戸建て旅館が人気ですが、民泊も一時期ブームになっていましたよね。今でも住宅の一部を宿泊サービスとして提供する民泊事業は、しばしば見受けることができます。
「民泊事業」は届け出手続きになる一方で、「旅館業」は許可が必要になるために、始めることだけを考えると民泊事業の方が、気軽に始めやすいとも思えますが、今沖縄では戸建て貸切旅館経営が、民泊以上にブームです。
そこで今日は、今から沖縄で始めるなら戸建て旅館が良いか、民泊事業が良いか…、判断するための5つのポイントをお伝えします。
オーナーの希望や事業を始める物件によっても、それぞれにベストな判断がありますので、どうぞご参照ください。
沖縄で営む戸建て旅館vs民泊☆
見極める5つのポイント
2018年「615ショック」の「民泊新法」
沖縄で戸建て旅館と民泊のどちらかを検討するならば、それぞれの営業形態に関わる法律の流れを、今一度確認しておくと、より全体像を捉えやすく決めやすいです。
まずは、沖縄では戸建て旅館より以前に民泊ブームが起きましたが、その流れをお伝えします。
2010年頃からインバウンド需要が高まり、2013年の東京オリンピック誘致決定を受けて、宿泊施設が足りないとされるようになってから、個人所有の住宅で宿泊サービスを提供する「民泊」が副業として注目されるようになりました。
【 沖縄で始める戸建て旅館vs民泊①それぞれの流れ 】
☆ 民泊 … 一般住宅を観光客などへ提供します。
けれども法整備がなされないまま民泊が急増し、近隣住民とのさまざまなトラブルの他、「ヤミ民泊」も多発したため、2018年6月に「住宅民泊事業法(民泊新法)」が始まりました。
民泊新法が施行されたことで、「何でもアリ」に近い状態だった民泊が、法整備されます。
民泊ブームで大きな役割を担ったサービスが、宿泊施設を紹介するサイト「airbnb」です。このサイトは個人で気軽に宿泊施設を登録できるため、グレーゾーンの民泊施設も数多く掲載されていました。
けれども2018年の民泊新法の施行を受け、法に沿っていない宿泊施設を約4万件も削除しています。同じくこの時期には、日本の民泊施設へ大量買い取りを進めてきた、中国系投資家も続々民泊から撤退しています。
戸建て旅館の始まり「旅館業法」の改正
一方、今沖縄でブームの戸建て旅館は、民泊ブームからの流れを汲んでいるとも言えます。この流れに拍車を掛けたのは「民泊新法」の施行により、「最大180日以下」の営業制限が掛かった点です。
自宅の一部を利用した、ごくごく副業としての民泊であれば、それでも充分に利益を得ることができますが、民泊事業をメインに事業を行ってきたゲストハウスオーナーなどにとっては大きな痛手となります。
そこで一気に「それならば…」と、旅館業法の申請・許可を検討するようになりますが、今までの旅館業法では許可が下りない物件がほとんどです。
そんな流れを見越し、同じ2018年6月15日に施行された法律が「旅館業法の改正」です。
【 沖縄で始める戸建て旅館vs民泊②旅館業法の改正 】
☆ 旅館業法 … ホテルと旅館が統一され「旅館業法」へ改正されます。
→ 小規模でも旅館業を営む物件の場合には、旅館業法の許可が必要ですが、一般住宅を利用して個人が許可を得るには、大きな壁が数多くありました。
フロント設置義務や最低部屋数数が緩和されるなど、さまざまなポイントがありますが、大まかにお伝えすると、この改正により「戸建て(貸切)旅館」も要件を満たせば、旅館業として営業できるようになりました。
この2つの法律の施行により、民泊ブームが終わり戸建て貸切旅館を始めとした、小規模な旅館ブームが起きたのが、2010年頃からの一連の流れです。
民泊と戸建て旅館、それぞれの法律
ここまでお伝えすると、沖縄で始めるなら戸建て旅館の方が民泊よりも有利に思えますが、オーナーの目的や状況、物件自体によって、それぞれに選択肢は変わります。
ここで注目したいポイントは「建築基準法」から見た分類です。沖縄で戸建て旅館か民泊を始める時、それぞれの建物の「分類」が違うことは、民泊新法の項でお伝えしました。
【 沖縄で始める戸建て旅館vs民泊③建物の分類 】
☆ 民泊 … もともとは「一般住宅を利用して宿泊スペースを提供する」形態を指すため、民泊新法では「居宅・共同住宅」に分類されるため、「宿泊施設」ではありません。
→ 「都市計画法」において「住宅」に分類される民泊は、NGエリアが「工業専用地帯」のみとなり、ほとんどのエリアで営むことができます。
戸建て旅館は、「地域」を確認
一方、沖縄の戸建て旅館では民泊と違い「旅館・ホテル」に区別されるために、営業できるエリアは制限されます。最も注意をしなければならないエリアは、「低層住宅専用地域」や「中高層住宅専用地域」です。
【 沖縄で始める戸建て旅館vs民泊④旅館NGエリア 】
《 旅館業NGエリア 》
・ 第一種低層住居専用地域
・ 第二種低層住宅専用地域
・ 第一種中高層住宅専用地域
・ 第二種中高層住宅専用地域
・ 工業地域
・ 工業専用地域
《 旅館業OKエリア 》
・ 第一種住宅地域
・ 第二種住宅地域
・ 準住居地域
・ 近隣商業地域
・ 商業地域
・ 準工業地域
もともと持ち家であったり、空き家を有効活用するとなれば、これからの調整は難しい問題ですが、これから戸建てを購入するのであれば、まず始めにどのエリアがNGでどのエリアが営業可能なのかをチェックしておくと安心です。
消防法で「住宅」分類されるケース
このように副業として、より気軽に自宅の一部で宿泊サービスを提供する場合には、180日の営業日数制限がありながらも民泊の方が始めやすく、本格的に利益を得たい場合には、旅館の方が営業しやすい、と言えます。
ただし民泊を選ぶ場合にはもう一点、「消防法では分類が違う」ことを理解しておくと、よりスムーズです。
【 沖縄で始める戸建て旅館vs民泊⑤消防法 】
☆ 宿泊サービスを提供するためには、「消防法」に基づいた地元の消防署の点検と許可が必要となります。(消防署によって違うこともあるので、まずは地域の消防署に詳細を確認すると安心です。)
→ この時「消防法」においては、民泊事業も旅館業と同じ「旅館業等」の枠組みでまとめられる点は注意をしてください。
そのため、民泊事業であっても消防法で定められた自動火災報知設備や誘導灯などの「消防設備」を設置しなければなりません。
ただし民泊事業でオーナー同居型を取った場合、宿泊スペースを提供する営業スペースが50㎡以下、居住スペースの方が広い場合には、住居として分類されます。
消防法について詳しくは別記事「沖縄で戸建てを旅館へ転用投資☆許可に不可避な消防法」でもお伝えしていますので、こちらも併せてお立ち寄りください。
いかがでしたでしょうか、今日は迷う方も多い、沖縄でブームの戸建て旅館と民泊、どちらの営業形態を選ぶかを、それぞれの法律の違いを基準にお伝えしました。
何よりも大きな判断基準は、住居の一部を利用するような「気軽な副業」か、戸建て住宅を購入して始めるような「本格的な投資」か…、ではないでしょうか。
ちなみに民泊事業を始める場合、住居が3階建て以上の場合には、消防法上の規定があるので、一度確認を取ってから進めると安心です。
ただ、旅館業法の許可に不可欠な「建築基準法」も2018年に改正が決定し、戸建て住宅の旅館業への用途変更において、より枠組みが広がりました。
こちらも詳しくは建築基準法についての別記事「沖縄で戸建てを旅館へ転用投資☆許可に不可避な建築基準法」でお伝えしていますので、どうぞご参照ください。
まとめ
戸建て旅館vs民泊事業
・民泊が「民泊新法」により法整備された
・旅館業法改正により戸建て旅館が可能になった
・民泊事業では年間180日以下の営業制限がある
・旅館は営業できない区域がある
・消防法では両方とも「旅館業等」に分類
・居住型民泊は状況によって消防法でも住宅扱い
・気軽なら民泊、本格的なら戸建て旅館
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