COLUMN琉球アーバンホーム コラム
2020.01.15注文住宅
沖縄で建てる木造の家☆拘りたいベタ基礎と布基礎の違い
沖縄では今、木造の家が注目されていますよね。この背景には、長年の経験と工夫により技術が向上・開発され、沖縄木造の家の性能が各段に上がったことがあります。
戦後、亜熱帯で高温多湿であるうえに、台風も頻繁に訪れる環境の沖縄では、沖縄の木造の家はシロアリ被害に遭いやすく、雨風や台風による腐朽も加えて、劣化しやすく「弱い」イメージがありました。
けれども現在、沖縄に建つ木造の家々は違います。口コミで沖縄の木造の家への信頼は回復し、この数年で急カーブの上昇を描くように、新築の木造住宅がどんどんと建ちました。
ただ良い業者を見極めるためにも、打ち合わせ前にある程度の知識があると、より安心ですよね。
そこで今日は、耐久年数が長くシロアリ対策も取られた沖縄の家を建てるために必要な、「見えない」基礎構造についてお伝えします。
沖縄で建てる木造の家☆
拘りたいベタ基礎と布基礎の違い
良い業者と出会うために
今、沖縄では木造の家の新規建築件数が軒並み上がっています。それは沖縄で木造の家の性能が上がり、信頼度が高くなったことがひとつですが、もうひとつ「安い予算で家を建てる」ことができるためです。
今までシロアリの心配が少ないからと、主流だったコンクリート造りや、鉄筋コンクリート造りの家は、枠組みを作りコンクリートを流し込む工程も加わり工期が長くなるなど、さまざまな事情から割高になります。
そのため規格家の鉄筋コンクリート造りの家でも高い傾向があるのですが、個人で特注する注文住宅にもなれば、その価格帯はグンと上がります。
一方、沖縄の木造の家は、職人さんが建てる「在来工法」が主流で、個人の希望に自由自在に合わせることができる点が魅力です。
(※ とは言え、大手ハウスメーカーなどの「規格家」などでは、ツーバイフォー(2×4)工法も見受けられます。)
そのために、予算を出来るだけ低く家を建てたい人々が、沖縄ではより、木造の家を選ぶ傾向があります。
ただこの傾向は全国的にも見られるもので、「ローコスト住宅」と呼ばれる家も、この流れで現れたスタイルです。
【 沖縄で建てる木造の家☆良い業者と出会うために 】
★ けれども「ローコスト住宅」に代表されるコストの低い家々は、「安く建てる」ことが目的です。ですから基礎部分も含め、より安い方法を選びます。
・ 特に全国チェーン展開をするようなハウスメーカーの「ローコスト住宅」は全国的な環境を基準とした規格家を基に、材料をまとめて輸入したり、工場で一手にカッティングを施すなどして、価格を下げています。
→ 一方、沖縄の亜熱帯らしい高温多湿の環境は全国的にも独特で、必ずしも全国基準とは限りません。ですから、沖縄で木造の家を建てるのであれば、低予算であっても地元密着型の工務店への依頼の方がおすすめです。
今では沖縄の工務店でもローコスト住宅のプランは出していますし、「ローコスト」と銘打たなくても、一坪単価の低い家を建てている業者は多いです。
沖縄の環境をよくよく理解して、予算の低い沖縄の木造家でも、後々まで耐久年数が期待でき、シロアリ対策にも注意を払ってくれる、地元密着型の工務店は、より安心して依頼できます。
「布基礎構造」とは
基礎部分(家屋の土台部分)に昔から用いられてきた構造が「布基礎構造」です。一見見た目にはコンクリートが敷かれているので分かりませんが、その下の地中部分では、支柱の「線(点)」で家屋を支えます。
【 沖縄で建てる木造の家☆布基礎構造 】
★ 上の絵からも分かるように、支える部分は柱の「線(点)」となっていて、ここに負荷が強く掛かります。その他の面では、まず防水シートを敷いた上にコンクリートを覆う方法が多いです。
・ 建築物の壁に倣い「基礎梁」と呼ばれる「柱」が地面に延び、「フーチング」と呼ばれる「面」が広がります。
防水シートの上に覆われたフーチング部分のコンクリートは、暑さが6cmほどで、後述する「ベタ基礎構造」よりも地面との幅が薄い傾向にあります。
この「布基礎構造」は昔ながらの日本の木造建築で採用されていた構造で、冬に地面が凍る寒い地域では、「凍結深度(※)」よりも深く基礎部分を差し込むことができるために役立つ構造です。
また、何よりもコンクリートも鉄筋も使用する量が少なくなるために、後述するベタ基礎よりもコストが安い点もメリットになります。
(※)凍結深度 … 冬に地面が凍る寒冷地域では、地面深くまで土が凍りますが、この凍る地面の「深さ」が「凍結深度」です。
凍結深度よりも浅い部分で基礎を作ってしまうと、地面部分が上がり不安定になりますよね。ですから、凍結深度が深い土地ほど、深くまで基礎を伸ばさなければなりません。
「ベタ基礎構造」とは
一方で近年増えてきた「ベタ基礎構造」は、「線(点)」ではなく「面」で支える構造です。
鉄筋コンクリートとコンクリートで面全体を打って覆うため、家屋の重力(負荷は、布基礎構造のような「線(点)」に集中せずに、面全体に分散して掛かります。
【 沖縄で建てる木造の家☆ベタ基礎構造とは 】
★ 面全体で家屋を支える安定した構造のベタ基礎構造は、特に軟弱地盤に建てる家には不可欠な構造です。
・ また家屋の負荷が分散されるベタ基礎構造は、先にお伝えした布基礎構造よりも震度も分散されるため、耐震性に優れています。
・ さらに注目すべきは、面全体をコンクリートで覆うため、地面と全く遮断されている点です。そのために床下に地面の湿気が流れ込みにくくなり、シロアリも床下(=家内)に侵入しにくくなります。
床下の湿気が改善されるので、沖縄の木造の家でも、湿気による木の腐朽への対策としても有効です。
ただし、面全体を鉄筋とコンクリートで覆うために、布基礎構造と比べると2倍以上の材料の調達が必要で、その分コストは割高になります。
ちなみに鉄筋が入るために面に覆われたコンクリートの厚みは15cm前後が一般的です。(布基礎構造では前述したように6cm前後となり、厚みのあるベタ基礎構造の方が、よりシロアリ・湿気対策になります。)
沖縄では布基礎とベタ基礎、どちらが良いか?
…以上が基本的な「布基礎構造」と「ベタ基礎構造」の特徴ですが、では、どちらの基礎が沖縄の木造の家に適しているでしょうか。
ここでそれぞれの特徴とメリット・デメリットを整理してみます。
【 沖縄で建てる木造の家☆どちらの基礎が有効か 】
① 布基礎構造
《 メリット 》
・ コストが安い
・ 凍結深度の深い寒冷地では、深くまで基礎を作ることができる
《 デメリット 》
・ 耐震性はベタ基礎の方が高い
・ 湿気が入りやすく、シロアリ被害にはベタ基礎よりも遭いやすい
② ベタ基礎構造
《 メリット 》
・ 負荷が分散されるため、耐震性はより良い
・ 湿気を遮断するため、湿気対策になる
・ コンクリートで覆うため、シロアリが侵入しにくい
《 デメリット 》
・ コストが高い
…このように二種類の構造を整理していくと、布基礎構造はシロアリ被害の心配が最も少ない地域である一方、地面が冬場に凍結しやすい、北海道などの寒い地域には向いているものの、沖縄ではベタ基礎の方が有利です。
シロアリの好む高温多湿の環境を持つ沖縄では、低予算の木造家であっても、見えない基礎部分にこそ予算を投じて、シロアリ対策は不可欠ですよね。
ベタ基礎構造によって予算が削られても、後々の修理修繕に掛かるコストまで考えれば、ベタ基礎構造の方がおすすめと言えます。
【 沖縄で建てる木造の家☆基礎構造を確認する 】
★ 最初にお伝えしたように、シロアリ被害は全国的にも沖縄がダントツです。特に寒冷地域では(最近は温暖化によりシロアリ報告も出たものの)、北海道などを見ると、シロアリ対策にあまり熱心とは言えません。
→ そのために、全国的にチェーン展開するハウスメーカーのローコスト住宅の規格では、布基礎構造を採用していたケースも少なくありません。
…ですから沖縄で木造の家を建てる時、規格家であれば、その基礎構造を確認しておくと、後々まで安心です。
いかがでしたでしょうか、今日は沖縄で木造の家を建てるなら、特に注意をしたい基礎構造についてお伝えしました。
家において「基礎」は家造りの第一歩…、この土台がしっかりしていなければ、見た目には豪華でも根本から崩れてしまいます。どんなに低予算の家造りを希望していても、「土台」には注意しなければなりません。
ベタ基礎構造は従来の布基礎構造よりも割高ではありますが、普及が進むにつれて価格も安くなりつつあります。
某業者の例を見てみると、ベタ基礎構造のコスト目安が33,000円~46,200円/坪であるのに対し、布基礎構造では29,700円~42,900円/坪でした。
沖縄で建てる木造の家であれば、ベタ基礎構造を推奨しますが、周辺環境や地盤状況(軟弱地盤かどうか)などを確認しながら、コストを比較検討して、よりベストな基礎構造を選んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
沖縄の環境に向いた基礎構造とは
・沖縄の環境に精通した地元業者がより安心
《 布基礎構造 》
・壁に沿った線(点)で支える
・凍結深度の深い地域に向いている
・コストが安い
《 ベタ基礎構造 》
・面全体で支える
・面全体にコンクリートを敷いている
・負荷が分散され耐震性が高い
・地面の湿気が遮断される
・シロアリの侵入をより防ぐことができる
・コストは高い
・沖縄ではベタ基礎構造が向いている
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